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陰毛は必ず増殖する

居酒屋でトイレに行ったときの話です。

私が用を足しにトイレに行くと、小便器の上に2本の陰毛がありました。ちょろん、ちょろんと佇むそれは、なんとも不思議な力強さを放っていました。

──なぜここに陰毛が

とっさにそう考えましたが、そんなことは考えるまでもありません。恐らく誰かがむしってそこに置いたのでしょう。私はその光景を不思議に思いながらも、そのままにしてトイレを後にしました。

少し時間が経ち、お酒も進み、ほろ酔いで上機嫌になったところで再びトイレに行きました。

陰毛が5本になっていました。

──なぜ陰毛が増えたのか

とっさにそう考えましたが、そんなことは考えるまでもありません。誰かがむしってそこに追加したのでしょう。私は用を足しながらその光景をしばらく眺め、そしてこの場を立ち去りました。

そして宴もたけなわな時間帯になったので、我々はお会計をすることにしました。今日もいい酒だったなあと余韻に浸りながら、店を出る前にトイレに向かいます。

陰毛が山積みになっていました。

──なぜ陰毛が山積みに

とっさにそう考えましたが、そんなことは考えるまでもありませんでした。この山は、今日という日をここで過ごした男たちの努力の結晶であり、気高く、ただそこに力強くそびえ立っているだけなのです。

私はなんだかいてもたってもいられない気持ちになってしまい、気付いたらこの誇り高き山の頂上に、自分のそれを一本のせていました。なんだか、胸を張りたい、そんな気持ちになりました。

その後、その山がどうなったのかを、私は知りません。